賃貸でネズミが出たら?管理会社への連絡・駆除費用・業者手配の注意

賃貸のキッチンでネズミを見た。天井から音がして、収納にはフンのようなものもある。そんなとき、「管理会社に言ってよいのか」「自分で駆除業者を呼ぶべきか」「費用は誰が払うのか」と迷うことがあります。

賃貸住宅でネズミを見つけたら、まず賃貸借契約書や入居案内に記載された管理窓口へ連絡します。管理会社が入っていない物件なら、貸主へ相談してください。費用が発生する調査・駆除や建物の加工を先に注文するより、状況を共有し、手配する人と負担の扱いを確認する方が行き違いを防ぎやすくなります。

ただし、「許可がなければ、どんな緊急時でも何もできない」という意味ではありません。必要な修繕については法律上の例外もあります。この記事では、普段の連絡手順と、回答がない場合の考え方を分けて解説します。

ここで扱うのは賃貸住宅での相談・手配・記録の方法です。個別の費用負担や契約上の権利は、発生原因、賃貸借契約、対応の経緯などによって異なります。

賃貸でネズミが出たら、最初の連絡先はどこ?

契約書・入居案内の「管理窓口」を確認する

まず探したいのは、設備の故障や修繕を受け付ける連絡先です。契約時の不動産会社、家賃保証会社、現在の管理会社は、必ずしも同じ会社とは限りません。手元の書類で役割を確認しましょう。

入居者向けアプリや専用フォームが指定されていれば、そこから写真を送る方法もあります。電話で連絡した場合は、担当者名と日時を控え、必要に応じてメールなどでも内容を残しておくと後から確認できます。

国土交通省の賃貸住宅標準契約書では、借主が修繕を要する箇所を発見したときの通知や、修繕の必要性についての協議が示されています。ただし、これは契約のひな形で、使用が義務付けられているわけではありません。実際に結んだ契約の内容も確認してください。参考:国土交通省「賃貸住宅標準契約書について」

夜間は緊急窓口の対象範囲を確認する

夜中に発見した場合は、入居案内に夜間・休日の連絡先があるかを調べます。緊急窓口があっても、ネズミ対応まで受け付けているかは確認が必要です。

すぐにつながらなければ、確認できた場所と時刻を記録し、子どもやペットをその場所へ近づけないようにします。煙や発火などの緊急事態は別で、管理会社からの回答を待たず、安全確保と緊急対応を優先してください。

発見した状況を「事実」と「推測」に分けて伝える

管理会社に伝える情報は、専門的な説明でなくて構いません。「ネズミが何十匹もいると思う」より、「昨夜キッチンで1匹見た。今朝、収納に黒い粒を見つけた」と伝える方が、確認の出発点が明確になります。

状況伝える内容注意すること
室内でネズミを見た見た日時、部屋、移動先、繰り返しているか撮影のために追い回したり、家具の奥へ手を入れたりしない
フンのような黒い粒がある発見場所、写真、以前の写真から増えているか写真だけで種類を断定せず、素手で触らない
天井や壁の中から音がする音の時間帯、位置、続く長さ、録音できたか音だけで動物の種類や頭数を決めない
食品や物に傷がある被害品、保管場所、気付いた時期原因が不明な段階では、ネズミによる被害と決めつけない
廊下・ゴミ置き場などでも見た共用部の場所、発見日時、室内での状況自分の判断で共用部へ捕獲器や薬剤を置かない

被害の規模が分からないこと自体も、調べてもらいたい内容です。「分からないから連絡できない」と考えず、見たことと確認できていないことを分けましょう。

管理会社への連絡前にそろえたい記録

写真は「場所が分かるもの」と「状態が分かるもの」を組み合わせる

黒い粒だけを拡大した写真では、どこで見つかったものか伝わりにくくなります。キッチン収納の全体、棚のどの段か、気になる箇所という順で、位置関係が分かる写真を残してください。

同じ場所で繰り返し見つかる場合は、撮影日を分けて保存します。確認のためにフンへ触れる必要はありません。安全に撮れない場所へ無理に入らず、その旨も管理会社へ伝えます。

生活への影響は具体的に書く

「困っています」だけでなく、何が使えなくなっているかを書きます。たとえば、食品棚を空にしている、子どもをキッチンへ入れないようにしている、夜間の音で眠れない日がある、といった状況です。

あわせて、立ち入り調査に対応できる時間、ペットがいるため事前説明が必要なことなど、訪問時の条件も伝えておくと予定を調整しやすくなります。詳しい健康情報など、調査に不要な個人情報まで送る必要はありません。

すでに行った対策も残す

市販品を置いた、食品を移動した、床を清掃したなどの対応は、日付とともに記録します。調査の前後で状態が変わっても、何をしたか分かれば説明できます。

使用した薬剤や捕獲器がある場合は、商品名や設置場所も伝えてください。管理側が手配した作業と重複しないよう、追加の対策を行う前に相談しておくのが無難です。

そのまま使える管理会社への連絡文例

次は、発見状況の報告と調査の相談をまとめた文例です。括弧内をご自身の状況へ置き換え、確認できていない部分は削除してください。実際に発見していない被害を加える必要はありません。

お世話になっております。【物件名・部屋番号】に入居している【氏名】です。

【○月○日・○時ごろ】、【キッチン・収納などの場所】で【ネズミを見た/フンと思われるものを見つけた/天井から物音がした】ため、ご連絡しました。

現在確認できているのは【発見した回数・場所・食品などの被害】です。写真を添付します。発生原因や建物内の侵入経路は、こちらでは確認できていません。

これまでに【食品の保管場所変更・清掃など】を行っています。現時点では、業者への有料作業の注文や建物の加工はしていません。

現地確認の手配、対応までに入居者が行うこと、業者を依頼する場合の窓口と費用の扱いについて、ご案内いただけますでしょうか。

訪問対応が可能な日時は【候補日時】です。まずは受付の確認と、今後の対応予定についてご返信をお願いいたします。

すでに業者へ相談した場合は、その事実を隠さず、予約だけなのか、有料作業まで依頼したのかを追記します。費用の問題は、注文の段階によって確認すべきことが変わります。

駆除費用は大家負担?入居者負担?一律に決まるわけではない

室内でネズミが出たからといって、必ず入居者が全額負担するとは限りません。一方、賃貸住宅であるという理由だけで、依頼した駆除費用がすべて貸主負担になるとも限りません。

修繕に関する法律と、今回必要な作業を分けて考える

民法606条は、貸主に使用・収益に必要な修繕をする義務があることを定め、借主の責めに帰すべき事情で必要になった修繕を例外としています。ただし、この条文だけで、あらゆるネズミ駆除の料金が貸主負担と決まるわけではありません。参考:法務省「民法」第606条

今回必要なのが、建物の不具合の修繕なのか、発生状況の調査なのか、捕獲や清掃なのかを分けます。そのうえで、発生原因、契約の規定、作業の必要性、手配までの経緯を確認することになります。

費用の話をする際は、「ネズミ対策一式」ではなく、調査、捕獲、侵入箇所の修繕、清掃などに分けて説明してもらうと、どの部分について意見が違うのかを把握できます。

「室内だから入居者」「古い建物だから大家」と決めつけない

建物の隙間が疑われても、実際にそこから入ったのかは調査が必要です。反対に、食品の置き方を指摘された場合も、それだけで発生原因や費用負担のすべてが決まるわけではありません。

たとえば「配管まわりの開口を修繕する必要がある」という説明と、「収納の食品管理を改善してほしい」という説明は、同時に出ることも考えられます。一方の話だけで全体の責任を判断せず、それぞれの根拠を確認しましょう。

現地調査では、写真で確認された事実と、原因として推定していることを区別して説明してもらいます。入居者側も「以前から建物にいたはず」と断言せず、入居時の写真や過去の連絡履歴など、確認できる資料を提示してください。

契約の「害虫駆除」「小修繕」の記載を確認する

契約書に清掃・害虫駆除・小修繕などの特約がある場合は、今回の対象や作業に当てはまるのかを確認します。「害虫」という言葉があるだけで、ネズミの捕獲や建物全体の修繕まで一括して含まれると判断しないでください。

国土交通省の標準契約書は、考え方を確認する資料にはなりますが、ご自身の契約内容そのものではありません。特約の意味や有効性に争いがある場合は、契約書を示して専門家へ相談することになります。参考:国土交通省「賃貸住宅標準契約書」本体・解説

自分で業者を呼ぶ前に確認したい5つのこと

管理会社から「業者に相談してください」と言われても、誰が注文し、誰が支払うのかが曖昧なままでは困ります。相談や見積もりを認めたことと、すべての作業費用を負担することは分けて確認しましょう。

  1. 手配する人:管理会社が発注するのか、入居者が予約するのか。
  2. 今回認められた作業:調査だけか、捕獲・清掃・修繕まで含むのか。
  3. 費用の扱い:事前に確認する金額、支払先、立替が必要な場合の精算方法。
  4. 建物への加工:穴塞ぎ、部材の取り付け、点検口の新設などを誰が承諾するのか。
  5. 追加作業:現地で別の作業を提案された場合、着手前に誰へ確認するのか。

「好きな業者で大丈夫です」という返答だけなら、「調査費○円までの依頼でよいか」「工事の見積もりは着手前に送ればよいか」と、具体的に確認します。電話後に要点をメールで送り、認識が合っているか確かめる方法もあります。

調査費、出張費、夜間料金、キャンセル料は、予約前に業者へ確認してください。広告の最低価格が、ご自身の状況の総額を示しているとは限りません。

国民生活センターは、害虫・害獣駆除でネット上の表示価格と実際の料金が大きく異なる相談や、契約を急がせる勧誘について注意喚起しています。不安が強いときほど、作業内容と総額を書面で確認しましょう。参考:国民生活センター「害虫・害獣駆除のトラブルにご注意」

見積もりの項目を詳しく確認したい場合は、害獣駆除の見積書で見るべき項目も参考になります。管理会社へ提出する見積もりも、総額だけでなく作業範囲が分かるものを用意してください。

対応を待つ間にできることと、勝手にしない方がよいこと

食品や生活用品を守り、確認できる範囲を記録する

対応待ちの間は、食品の保管、食べ残しやゴミの管理、子どもやペットを被害場所へ近づけない工夫を進めます。食品の管理は、家庭でできるネズミ対策としてメーカーも案内しています。参考:アース製薬「ネズミの駆除方法」

フンのようなものを清掃する場合は、写真を残したうえで、安全な方法を確認してください。CDCはネズミのフンや尿を乾いたまま掃除機で吸ったり、ほうきで掃いたりしないよう案内しています。手袋や適切な消毒剤の使用など、衛生上の注意が必要です。参考:CDC「ネズミがいた場所の清掃」

大量のフンや、天井裏・断熱材に及ぶ汚染を自分で片付ける必要はありません。立ち入らず、写真を撮れない事情も含めて管理会社へ説明しましょう。

建物の穴塞ぎや、共用部への薬剤設置は先に相談する

見つけた隙間へ接着剤や発泡材を詰める、換気口を塞ぐ、壁に穴を開けるといった加工は、原因が分かる前に進めないでください。何のための開口か、どの範囲を修繕するかも確認が必要です。

廊下、共用のゴミ置き場、他の住戸に関係する設備などは、入居者だけの判断で対策用品を置かないようにします。管理側からの指示がある場合も、設置場所や点検・回収の担当を明確にしておきましょう。

また、「隣の部屋が原因に違いない」と直接問い詰めることも避けます。建物側を含めた調査が必要かどうかを、管理会社から確認してもらう方が、根拠のない責任の押し付け合いを避けられます。

管理会社から返事がない・対応が進まないとき

受付済みか、調査予定が決まっているかを確認する

返事がない場合は、最初の連絡日と内容を添えて再度連絡します。「いつ駆除するのか」だけでなく、「受付はされているか」「調査を手配する予定か」「担当は誰か」を確認すると、止まっている部分が分かります。

新しい被害があれば追記します。入居者が希望する回答日を伝えることはできますが、この記事で一律に「何日待てば法律上十分」と定めることはできません。事情や必要な対応によって異なるためです。

管理窓口で解決しなければ、契約書にある貸主側の連絡先や、案内されている別の相談窓口も確認します。連絡履歴、契約書、写真、見積もりはまとめて保存しておきましょう。

一定の場合には借主が修繕できる規定もある

民法607条の2は、修繕が必要な場合に、貸主へ通知するなどしても相当の期間内に必要な修繕が行われないときや、急迫の事情があるときには、借主が修繕できると定めています。また、608条には、貸主の負担に属する必要費を借主が支出した場合の償還請求の規定があります。参考:法務省「民法」第607条の2・第608条

ただし、これは「返信がなければ、好きな業者へ任意の金額で依頼し、全額を請求できる」という意味ではありません。今回の作業が修繕に当たるか、必要性や緊急性、費用の妥当性、誰の負担に属するかなどの確認が必要です。

先に注文するか迷うときは、事情と記録を示して法律相談を利用してください。契約や駆除サービスの料金トラブルについては、消費者ホットライン188から地域の消費生活相談窓口の案内を受けられます。参考:消費者庁「消費者ホットライン」

部屋が使えない場合、家賃や宿泊費はどう考える?

ネズミ被害によって部屋の利用に支障が出ている場合は、どの場所が、いつから、どのように使えないのかを具体的に残します。単に発見した事実と、住居を使用できない状態は区別して整理してください。

民法611条には、借主の責めに帰すことができない事情によって賃借物の一部が使用できなくなった場合、その割合に応じて賃料が減額される規定があります。ただし、ネズミを一度見ただけで家賃が一定割合下がるという規定ではありません。対象となる状態や期間、金額は個別に確認する必要があります。参考:法務省「民法」第611条

貸主との合意がなければ権利が一切ない、ということではありませんが、ご自身で金額を決めて家賃の支払いを止める前に、専門家へ相談する方が安全です。

一時的な宿泊費、被害を受けた食品や家具、転居費用なども、当然に全額補償されるとは限りません。安全確保は優先しつつ、可能な範囲で事前に費用の扱いを確認し、必要性が分かる記録と領収書を残してください。

調査・施工が終わったら、入居者側でも確認を残す

作業が終わった後は、管理会社へ「何を確認し、何を実施したか」を説明してもらいます。細かな工法の判断を入居者がすべて担う必要はありませんが、今回の対応範囲は把握しておきたいところです。

たとえば、室内だけの調査だったのか、建物側の確認も済んだのか。捕獲器を置いて経過を見る段階なのか、修繕まで終わったのか。未確認の場所がある場合は、次に何をする予定かを聞きます。

その後また音や痕跡があったときの連絡先、点検に来る予定、室内に残された資材の扱いも確認してください。入居者が触らない方がよいものは、家族にも共有しておきましょう。

捕獲だけと、再侵入を防ぐ対策の違いについては、ネズミ駆除・対策・防除の違いで説明しています。今回の作業がどの段階なのかを確認するときに役立ちます。

賃貸のネズミ被害でよくある質問

1匹だけでも管理会社に連絡してよいですか?

連絡して構いません。頭数を推測せず、見た日時と場所、ほかの痕跡があるかを伝えてください。発見した段階で状況を共有しておけば、後から繰り返した場合にも経緯を説明できます。

ネズミの写真がなくても相談できますか?

写真を撮るために追いかける必要はありません。目撃した場所、時刻、移動先など、覚えている範囲を伝えます。黒い粒などがある場合も、ネズミのフンと確定せず「確認してほしいもの」として共有してください。

入居時に消毒費を払っていれば、今回の対応も無料ですか?

入居時の作業に何が含まれていたか、保証や再施工の条件があるかを確認する必要があります。費用を支払ったという事実だけで、将来のネズミ対策がすべて無料になるとは判断できません。契約書や当時の作業明細を確認しましょう。

駆除業者に先に頼んでしまった場合はどうすればよいですか?

まず管理会社へ、依頼日時、理由、作業内容、金額を伝えます。未着手なら、業者にも契約やキャンセル条件を確認してください。費用を請求できるかは事情によるため、契約書・見積書・連絡履歴をそろえて相談します。

共用部で見ただけでも連絡した方がよいですか?

場所と日時を管理側へ共有しておくと、建物の管理情報として扱えます。自室へ侵入しているかは別の問題なので、確認できていない被害まで加えずに報告してください。

まとめ|賃貸では「報告・手配・費用」を分けて確認する

賃貸住宅でネズミを見つけたら、まず管理会社または貸主へ状況を伝えます。写真や日時、生活への影響を記録し、調査の予定と、その間にできる対応を確認してください。

業者への注文では、誰が手配するか、どの作業を認めているか、費用をどう扱うかを分けます。「賃貸だから大家が全額負担」「室内だから入居者が全額負担」と、その場で決めつけないことが大切です。

被害への対応を進めることと、負担について争いを増やさないことは両立できます。確認できた事実を残し、必要な安全対策を進めながら、修繕や費用に争いがある場合は早めに適切な相談先を利用しましょう。

LifeXrees編集部

住まい・害獣害虫・家電・観光・防災など、暮らしの実用情報を編集しています。