停電が半日・1日・3日続いたら?時間別に見直す家庭の備えと行動

停電が続くときは、半日なら今夜の明かり・食事・連絡手段、1日なら備蓄の残量と補充先、3日なら翌日以降の生活と過ごす場所を見直します。

ただし、これは確認する内容を時間別に分けたものです。暑さや寒さが厳しい、建物に被害がある、医療機器の電源を確保できない場合は、半日を待たずに対応が必要です。「3日分備えているから、3日間は家にいよう」とは決めないでください。

この記事では、停電が長引いたときに、家にある物をどう使い、いつ補充や支援を考えるかを扱います。ライトや電源用品をこれからそろえる場合は、停電対策で家庭に必要なものも確認してください。

半日・1日・3日の停電で、何を確認する?

最初に確かめたいのは、復旧予定だけではありません。「今夜を過ごせるか」「明日も使えるか」「この家で生活を続けられるか」を、家族の状況に合わせて確認します。

経過時間の目安重点的に確認すること具体的な行動
停電直後家族と建物の安全、停電の範囲、医療機器の作動安全を確保し、公式情報を確認する。必要な家庭は医療・支援の連絡を始める
半日程度
約12時間
今夜の照明、食事、連絡用の電池ライトを使う場所へ出す。冷蔵庫の開閉を減らし、常温保存できる食品を使う準備をする
1日程度
約24時間
水・食品・携帯トイレ・充電の残量家族全員で使った量を数え、先に足りなくなる物の補充先や支援窓口を確認する
3日程度
約72時間
翌日以降の補充、衛生、室温、家族の負担自宅で過ごせる条件を再確認し、支援の利用や滞在先の変更を判断する

時間の区分は、家庭で確認する内容をまとめたものです。その時間まで安全に待てることや、停電が復旧する時期を示すものではありません。照明、食事、水、トイレの準備は、必要になってからではなく停電直後から進めます。

停電直後|「電気だけが止まった」のかを確かめる

自宅だけか、周辺も停電しているかを確認する

安全な場所から、自宅だけの停電なのか、近隣にも広がっているのかを確かめます。地域の送配電事業者が公表する停電情報と、自治体のお知らせを確認してください。

自宅だけの場合は、電気の使いすぎや漏電など、家の中の原因も考えられます。原因が分からないままブレーカーの入れ直しを繰り返さず、電力会社の案内に従うか、管理会社などへ相談します。

地震による損傷、浸水、煙、ガス臭がある場合は、復旧操作より安全確保が先です。濡れた電気設備や、切れて垂れ下がった電線には触れないでください。

参考:東京電力パワーグリッド「急に電気が消えたとき」「地震が起きたとき」

医療機器を使う家庭は、最初から個別の手順で動く

人工呼吸器や酸素濃縮装置などを使っている場合は、一般家庭向けの「半日・1日・3日」という区分では対応を決められません。停電直後に機器の作動を確認し、医療機関や機器の事業者と決めておいた手順に沿って対応します。

予備電源の残量が少なくなるまで待たず、あらかじめ決めた連絡先へ早めに状況を伝えてください。一般のモバイルバッテリーやポータブル電源を、自己判断で接続してよいわけではありません。

平時には、使用できる予備電源、実際の作動時間、連絡先、移動先を医療者と確認しておきます。

参考:東京都保健医療局「東京都在宅人工呼吸器使用者災害時支援指針・災害時個別支援計画」

半日の停電|暗くなる前に、明かりと食事を用意する

スマホを照明に使い続けず、連絡する余力を残す

夕方に停電したなら、半日後ではなく、その場で夜の準備を始めます。食事をする場所、トイレまでの通路、寝室など、実際に使う場所へLEDライトを出してください。

スマホのライトは一時的な明かりになりますが、長時間使うほど連絡や情報確認に使える電池が減ります。専用のライトがあるなら、明かりはそちらに任せましょう。

スマホは省電力設定を使い、不要な動画視聴などを控えます。家族で公式情報を確認する担当を決めれば、全員が同じ画面を開き続けずに済みます。ただし、節電のために全端末の通信を切り、必要な連絡を受け取れなくなる使い方は避けてください。

モバイルバッテリーは、残量だけでなくケーブルも確認します。「バッテリーはあるのに、このスマホにつながらない」という状態を先に解消しておきましょう。

冷蔵庫は「半日くらい大丈夫」と考えない

停電した時刻をメモし、冷蔵庫と冷凍庫の扉はできるだけ開けないようにします。中身が気になって何度も確認するより、必要な物を決めて短時間で取り出してください。

農林水産省は、扉を開けない場合に低温を保てる時間を、冷蔵庫で約4時間、冷凍庫で約1〜2日と案内しています。いずれも目安で、気温や食品の量などによって変わります。

目安時間を超えた傷みやすい肉・魚・惣菜や、適正な保存温度を保てなかった要冷蔵・要冷凍食品は、食べずに処分します。完全に解凍された冷凍食品を、再び凍らせることも避けてください。

出典:農林水産省「停電や断水、大雨による浸水に遭われた地域の皆様へ」

見た目やにおいが普通でも、安全とは判断できません。「もったいないから先に食べよう」と無理をせず、未開封で常温保存でき、そのまま食べられる食品へ切り替えます。

参考:米国食品医薬品局(FDA)「停電・浸水時の食品と水の安全に関する案内(英語)」

1日の停電|「あと何日分あるか」を物ごとに数える

停電が1日続いたら、買っておいた量ではなく、今残っている量を数えます。水はL、食品は家族が食べられる食事の回数、携帯トイレは使用できる回数で確認すると、明日の見通しを立てやすくなります。

4人家族の例|水と食事が2日分あっても、トイレは1日分かもしれない

次の表は、停電と断水が続いている4人家族を想定した計算例です。全員が1日3食を取り、携帯トイレは1日目に家族全員で20回分使ったものとします。

確認する物現在の残量1日あたりに見込む量残量から計算した日数
飲用・調理用の水24L4人×3L=12L約2日分
食事24食分4人×3食=12食約2日分
携帯トイレ20回分前日と同じ20回分を使う想定約1日分

架空の計算例です。食事の量や排泄回数は家庭によって異なり、表の消費量を全家庭へ当てはめるものではありません。「24食分」は、主食とおかずなどを組み合わせて24回分の食事を用意できる量を指します。

この家庭では、水や食品より先に、携帯トイレの補充や利用できるトイレの確認が必要です。備蓄をまとめて「あと2日分ある」と数えると、こうした不足を見落とします。

残量で比べたいのは、最も多く残っている物ではなく、先に足りなくなる物です。足りなくなってから探すのではなく、残っているうちに補充先や支援窓口を調べます。

水の計算に使った1人1日3Lは、飲用と調理用を合わせた備蓄の目安です。トイレ、洗濯、食器洗いなどの水まで含む量ではありません。実際の使用量が多い場合は、その状況も見込んで確認してください。

出典:農林水産省「大事な水、どうやって備えますか?」

水を本数に換算して不足量を確認する方法は、水の備蓄はあと何本?家族人数別の必要量と買い足し計算にまとめています。

食品は、今ある水と熱源で食べられる分を数える

米や乾麺が残っていても、調理する水や燃料が足りなければ、そのままでは食事にできません。「食品の袋数」と「今の条件で用意できる食事の回数」は分けて数えましょう。

常温でそのまま食べられる物、水を加えれば食べられる物、加熱が必要な物を見分けると、限られた水や燃料の使い道を決めやすくなります。調理方法は、食品の表示を確認してください。

乳幼児のミルクや離乳食、食物アレルギーへの対応食などは、家族全体の食数とは別に確認します。大人の食料が余っていても、代わりに使えるとは限りません。

充電は「残り何%」と「これから何に使うか」をセットにする

スマホの残量が同じ30%でも、連絡を待つだけなのか、地図を見ながら移動するのかで、この先の使い方は違います。移動を予定している端末や、医療・支援の連絡に使う端末など、優先して充電する機器を決めてください。

モバイルバッテリーの容量表示だけで「あと2日もつ」と決めず、家族が実際に使った量も見ます。充電できる場所が案内されている場合は、受付時間、持参するケーブル、利用条件を確認します。

「充電場所があるらしい」という情報だけで出発せず、その日の公式案内と安全な移動経路を確かめておきましょう。

3日の停電|翌日も自宅で過ごせるかを見直す

停電が3日近く続いたら、残っている備蓄に加え、補充の見通しと家族の負担を確認します。食料があっても、室温や衛生状態、介護の状況によっては、その家で生活を続けることが難しくなります。

以下の確認は3日目まで待つものではありません。問題が出た時点で、支援や移動を考えてください。

暑さ・寒さを抑えられないなら、備蓄があっても滞在先を考える

夏は、日差しを遮っても室内の暑さを抑えられない場合、冷房の使える安全な場所への移動を早めに検討します。冬も、重ね着や毛布で対応できない寒さなら、暖かく過ごせる場所を探します。

特に乳幼児や高齢者などは、本人の「大丈夫」という言葉だけで判断せず、室内の状態や様子を確認してください。熱中症は屋内でも起こります。

暑い環境で体調を崩した場合は、涼しい場所へ移して体を冷やします。自力で水を飲めない、受け答えがおかしい、意識がない場合は、すぐに119番で救急車を呼んでください。

参考:厚生労働省「熱中症予防のために(PDF)」

給水・トイレ・ごみ処理を続けられるか確認する

給水所が開いていても、水を入れる容器がない、階段で部屋まで運べないといった事情があれば、補充はできません。場所だけでなく、誰が受け取り、どう運ぶかまで確認します。

携帯トイレやおむつは、未使用分の残量に加え、使用後の保管とごみの出し方も確認してください。処分方法は自治体の案内に従い、においや汚れを広げずに保管できるかを見直します。

家族だけで続けることが難しい場合は、自治体や支援窓口へ具体的に伝えます。「困っています」だけでなく、「4人分の飲料水が明日まで」「携帯トイレは残り10回分」「階段で給水を運べない」と伝える方が、必要な支援を相談しやすくなります。

移動するなら、受け入れ先と道中の安全を確認する

避難所や親族宅などへ移る場合は、受け入れ可能か、必要な設備が使えるかを確認します。避難所という名称だけで、冷暖房や医療機器用の電源が確保できるとは決めつけないでください。

薬、連絡先、スマホの電源、持ち出す水なども準備します。介助が必要な家族がいるなら、移動を手伝う人や搬送手段を先に相談しておきます。

一方、暴風や浸水で屋外の移動が危険なときは、補充のために無理に出歩かず、その時点で安全な場所から自治体や支援先へ連絡してください。

停電中の熱源と、復旧時の事故にも注意する

カセットコンロをIHの上に置かない

カセットコンロは、指定されたボンベと調理器具を使い、説明書に従って換気しながら使用します。停電中は換気扇も使えないことを忘れないでください。

2台以上を並べる、ボンベ部分まで覆う大きな鍋や鉄板を載せる、調理用のコンロを暖房代わりに使うといった使い方は避けます。

電気が止まっていても、IH調理器の上をカセットコンロの置き場所にしないでください。IHが作動すると、カセットボンベが過熱されて破裂する危険があります。

参考:NITE「カセットこんろの事故を防ぐための注意点」「IH調理器の上にカセットこんろ」

燃料式の携帯発電機は、屋内で使わない

燃料式の携帯発電機は、室内や屋内の車庫などでは使用しません。窓を開けた室内でも、屋内使用が安全になるわけではありません。

排気には一酸化炭素が含まれます。屋外でも風通しのよい場所で、排気が建物内へ入り込まないよう、製品の設置条件を守ってください。安全な場所を確保できないときは、無理に運転しないことが大切です。

出典:NITE「携帯発電機・カセットこんろ・モバイルバッテリーの使用にご注意ください」

電気が戻ったら、家電と周囲を確認してから使う

安全に操作できる状況なら、停電中は調理・暖房器具などのスイッチを切り、必要に応じてプラグを抜いておきます。地震などで避難する際は、通電による火災を防ぐため、ブレーカーを切ります。ただし、危険な場所へ戻ってまで操作しないでください。

復旧後も、水に浸かった家電や配線は、そのまま使用しません。焦げたにおい、コードの損傷、家電の転倒などがないかを確認し、異常があれば使用を中止して電力会社や専門業者へ相談します。

医療機器の電源の扱いは、事前に医療者と確認した手順を優先してください。

参考:東京電力パワーグリッド「地震が起きたとき」

家族で共有する「停電中の残量メモ」

残量は、紙に一枚書いておくだけでも共有できます。電池が減ったスマホを何度も開かずに済むよう、家族が見られる場所へ置いておきましょう。

停電中の確認メモ

停電した日時:__月__日__時ごろ
今回確認した日時:__月__日__時
飲用・調理用の水:残り__L/1日で使う見込み__L
今の条件で用意できる食事:家族全員であと__回分
携帯トイレ:残り__回分/前日に使った数__回分
連絡用スマホ・ライト:残量____/次の充電・電池交換____
室温・体調・介護などの心配:____
先に補充・相談するもの:____
確認済みの支援先・受付時間:____
次に確認する時刻:__月__日__時

次の確認時刻を決めていても、体調の変化や新しい避難情報があれば、その時点で対応を見直します。復旧予定は、情報元と確認した時刻も一緒に書いておくと、古い情報との取り違えを防げます。

停電が長引いたときによくある質問

「今日中に復旧予定」と出ています。補充や支援の確認は必要ですか?

復旧予定だけを理由に、残っている備蓄を使い切らないようにします。予定どおり戻らない場合に困る物があれば、先に補充先や支援窓口を確認してください。

水分や食事を過度に我慢して備蓄を延ばすのではなく、必要な分は使いながら、次に確保する方法を考えます。

停電だけなら、水や携帯トイレは必要ありませんか?

停電しても使える設備は住宅によって異なります。マンションなどでは給水ポンプの停止が影響する場合があるため、普段から管理会社に停電時の給水・トイレの使い方を確認しておきます。

地震などで排水設備の損傷が疑われる場合は、水があるという理由だけで流さず、管理者や自治体の案内に従ってください。水洗トイレが使えない場合に備え、携帯トイレも用意しておきましょう。

モバイルバッテリー1台で、3日間の停電に対応できますか?

台数だけでは判断できません。バッテリーの容量や状態、充電する機器の数、スマホの使い方によって変わります。

平時に家族のスマホを実際に充電し、残量がどの程度減るかを確かめておきます。停電中は連絡に使う端末を優先し、充電できる場所の情報も早めに確認してください。

停電後に冷蔵庫がまた冷えれば、中の食品は食べられますか?

再び冷えたことだけでは、食品の安全性は判断できません。停電中に適切な保存温度を保てなかった食品は、冷やし直しても元の状態には戻りません。

傷んだ可能性のある食品を、加熱すれば必ず食べられると考えるのも避けてください。保存温度や経過時間を確認できず不安がある物は、無理に食べないようにします。

参考:農林水産省の停電時の食品管理、FDAの停電・復旧後の食品安全情報(英語)

家庭の備蓄は3日分あれば十分ですか?

農林水産省は、防災備蓄の目安を最低3日分、できれば7日分としています。この記事の「3日」は確認する節目であり、それ以上の備えが不要という意味ではありません。

また、備蓄日数と自宅で過ごせる日数は別です。室温、建物、医療、衛生の条件が整わない場合は、物が残っていても支援や移動が必要になります。

出典:農林水産省「災害を想定した備えが大切」

まとめ|「まだある」ではなく、何が先に足りなくなるかを見る

停電が長引くときは、今夜の明かりと食事を確保し、次に水・食品・携帯トイレ・充電の残量を比べます。3日近く続く場合は、翌日以降の補充だけでなく、その家で無理なく過ごせるかも見直してください。

水が十分でも、トイレや医療機器の電源が先に必要になることがあります。「家に備蓄がある」だけで終わらせず、物ごとに残量を確かめることが、次の行動につながります。

まずは、家族で使うライトを点灯させ、備蓄の水と携帯トイレの残量を一度書き出してみましょう。足りない物だけでなく、置き場所が分からない物や、使い方を確かめていない物も見つかります。

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LifeXrees編集部

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