災害時の公衆電話に備えるなら、平時に設置場所を二か所以上確認し、10円硬貨などと紙の連絡先を用意してください。公衆電話は携帯電話が使えないときの連絡手段になりますが、どの場所でも必ず使えるわけではありません。停電や無料化の際は機種によって操作が異なるため、現地の表示とNTTの案内に従います。電話を探すために避難を遅らせず、まず安全な場所へ移動することが前提です。
この記事では、公衆電話の探し方、硬貨・カードの備え、機種ごとの違い、家族への連絡準備を整理します。災害用伝言ダイヤル171の詳しい録音手順とは分け、公衆電話を実際に使う前に困りやすい点を扱います。
最初に確認するのは電話の場所と、そこへ行ける条件
自宅・職場・通学先の近くを平時に調べる
NTT東日本・西日本は公衆電話の設置場所を案内しています。自宅の近くを一つ見つけて終えるのではなく、通勤・通学先、よく利用する駅、避難先周辺でも候補を確認しておくと、災害発生時の居場所に合わせて判断できます。
東日本の設置場所検索は、住所や施設名などから探せます。ただし、掲載情報と現地の状況が異なることもあります。西日本の設置場所検索ページは、2026年10月23日の確認時点で一部Webサービスの停止案内が表示されていました。地図が使えないときに検索できたことにせず、公式の復旧案内や施設への確認、普段の移動中の現地確認を利用してください。
NTT東日本の公衆電話設置場所検索と、NTT西日本の公衆電話設置場所検索・サービス状況から確認できます。検索結果の画面だけをスマートフォンに保存するのではなく、施設名と入口の位置を紙にも控えておきます。
施設内の電話は利用できる時間を分けて考える
駅や商業施設の名前が地図に載っていても、改札の内外、入口からの距離、建物の開館時間によって使いやすさは変わります。夜間に閉まる建物の中にある電話を、24時間使える候補として数えないようにしましょう。災害によって施設自体が閉鎖されることもあります。
| 確認する項目 | 平時に控える内容 | 災害時に判断すること |
|---|---|---|
| 場所 | 施設名、通り、入口、屋内・屋外 | 安全に近づけるか |
| 利用時間 | 開館時間、改札や入口の条件 | 閉鎖・立入制限がないか |
| 経路 | 普段通る道と別の候補 | 浸水、落下物、倒壊などの危険がないか |
| 操作 | 機種、赤い緊急通報ボタンの有無 | 現地の表示、無料化・停電時の案内 |
| 代替 | 別の電話、連絡相手、伝言手段 | 使えなければ無理に待ち続けない |
候補を二か所以上挙げるのは、必ず順番に歩いて回るためではありません。一つが使えないときに、危険な場所へ探しに行かず判断するための準備です。避難指示や現場の誘導があるときはそちらを優先し、電話のために避難経路を外れないでください。
硬貨・連絡先・使い方のメモを一組にする
10円硬貨を含め、使える支払方法を確認
一般的な公衆電話では10円・100円硬貨や対応するテレホンカードを使います。スマートフォンの決済アプリや交通系ICカードがそのまま使えるとは考えないでください。100円硬貨は通話が短く終わっても差額のお釣りが出ないため、短い連絡を想定するなら10円硬貨も用意します。
必要枚数を全国共通で決めることはできません。かける相手や通話時間、料金区分によって変わるため、家族への短い連絡を想定して用意します。硬貨は取り出せる小袋に入れ、非常用袋の奥に入れたままにせず、普段持つ連絡カードと組み合わせる方法もあります。
防災用品全体を揃える際は、非常用持ち出し袋のチェックリストも参考にしてください。公衆電話用の硬貨は現金全体の一部として整理し、電話だけに備えを偏らせないようにします。
電話番号はスマートフォンの中だけに置かない
端末の電池が切れると、いつも名前を選んで電話している相手の番号を思い出せないことがあります。家族など必要な相手の番号を、普段使う市外局番・携帯電話番号を含む形で紙に書いておきます。職場や学校は、災害時の公式連絡方法も一緒に確認してください。
連絡カードに、銀行情報、パスワード、本人確認書類の番号まで書く必要はありません。紛失する可能性を考え、緊急時の連絡に必要な情報に絞ります。家族の呼び名だけでは第三者の助けを借りにくいこともあるため、本人が分かる範囲で相手と関係を整理します。
- 第一の連絡先:[相手・電話番号]
- つながらない場合の連絡先:[相手・電話番号]
- 家族で決めた集合場所・確認方法:[記入]
- 伝言サービスで使う番号:[家族で確認して記入]
- 近くの公衆電話候補:[場所・利用時間・確認日]
通常時のかけ方は現地の機種表示を確認する
NTTの公衆電話には、硬貨・カードを入れるタイミングや緊急通報の方法が異なる機種があります。大まかな流れは受話器を上げ、機種の案内に従って硬貨などを入れ、電話番号を押すというものですが、図や音の案内を先に確かめてください。カードが使えない状態で、何度も差し込み続けないようにします。
赤い緊急通報ボタンのある機種とない機種では、緊急時の操作が違います。110・118・119への緊急通報は無料です。赤いボタンがある場合の押し方、ない場合のダイヤル方法は電話機の表示で確認します。緊急番号は練習のためにかけず、平時の操作確認は了承を得た家族などへの通常の通話で行ってください。
通話が終わったら受話器を戻し、硬貨やカードの戻り、荷物の置き忘れを確認します。慌てて立ち去らないように、通話前にメモと硬貨をまとめておくと、終わった後の確認もしやすくなります。詳しい機種写真と操作はNTT西日本の公衆電話の種類と利用方法で確認できます。
停電時と無料化時は、同じ状態ではない
停電するとカードが使えない場合がある
NTT西日本は、停電時の公衆電話について、テレホンカードが利用できなくなることや、機種による違いを案内しています。電話機の表示が消えていても利用できる場合がありますが、すべての電話が無条件に動くわけではありません。デジタル公衆電話では電池の状態なども関係します。
硬貨が必要な機種では、無料通話の扱いでも最初に硬貨を入れ、通話後に戻る操作になる場合があります。また、硬貨がいっぱいになるなどの事情で使えない場合もあります。「停電だからカードだけ持っていけばよい」「表示が消えているから必ず故障」とどちらにも決めつけず、現地案内に沿って確認します。
災害が起きたら自動的に全電話が無料になるわけではない
大規模災害などでは、公衆電話の無料化措置が実施されることがあります。対象地域や開始状況は、その時点の事業者の発表で確認します。地震が起きたという事実だけで、現在地の電話が無料になったと判断しないでください。
NTT西日本の無料化案内では、赤い緊急通報ボタンがある電話機は、受話器を上げた後に硬貨またはカードを入れる操作が必要で、通話後に戻る説明があります。赤いボタンがない機種は、受話器を上げてそのままダイヤルする方式です。停電している場合はカードが使えない点も重なるため、「無料」という言葉だけで操作を一つにまとめないでください。
| 状況 | 確認すること | 備えるもの |
|---|---|---|
| 通常時 | 機種の支払方法と操作表示 | 10円硬貨など、紙の番号 |
| 停電時 | 機種の動作、カードの利用可否 | カードだけでなく硬貨 |
| 無料化実施時 | 対象地域、機種別の操作、停電の有無 | 無料でも硬貨が必要な場合に備える |
| 故障・被災・施設閉鎖 | 使用できる状態か、安全に近づけるか | 別の連絡手段と事前の取り決め |
公衆電話と避難所の災害時用電話を区別する
街中で日常的に利用する公衆電話とは別に、避難所などに事前設置され、災害時に利用される特設公衆電話があります。設置予定・配備の情報があることと、平時から誰でも受話器を使えることは同じではありません。災害時は自治体や施設管理者の設置・利用案内に従います。
学校や公共施設の敷地へ、電話を探す目的だけで無断で入らないでください。避難所に着いても、電話の運用が始まっているか、順番や利用時間の案内があるかを確認します。利用できない場合に備え、スマートフォンのメッセージや災害用伝言サービスなど、複数の方法を家族で共有しておきます。
つながったときに伝える内容を短く用意する
災害時の電話は、状況説明を最初から詳しく話すより、相手の判断に必要なことから伝えます。「誰が」「無事か」「今どこにいるか」「次にどうするか」を、分かる範囲で整理してください。未確認の家族の安否や交通情報を、確認済みのように伝えないことも大切です。
連絡用メモの例は「[名前]です。私は[現在の状態]で、今は[場所]にいます。これから[予定]です。次の連絡は[方法・目安]にします」です。これは記入用の型であり、実際の状況を埋めて使います。移動できるか分からない場合は、予定を確約せずその旨を伝えます。
相手が電話に出ないときに、同じ番号へ繰り返しかけ続けると、避難や周囲の情報確認が遅れることがあります。安全を確保したうえで、家族で決めた次の連絡先や伝言手段へ切り替えます。公衆電話は災害時に優先的に扱われる仕組みがありますが、通信設備の被害や相手側の状況まで解消するものではなく、必ずつながる保証はありません。
子どもや高齢の家族とは、使う場面まで練習する
番号を押す操作だけでなく、電話がある場所を見つけ、カードから必要な番号を探し、短く伝え、持ち物を回収するところまで確認します。実際の電話を使う練習は、通常時に安全な場所で、相手の了承を得て行います。他の利用者がいるときに長時間占有しないでください。
子どもには、電話を探すために知らない場所へ一人で行くのではなく、学校や家族と決めた避難・連絡ルールに従うことを伝えます。近くの大人へ助けを求める場合も、誰に相談するかを普段から話しておきます。身体の状態や機器の高さによって一人では使いにくい場合は、本人に合った代替連絡方法も準備します。
練習して分かったことは、「番号の字が小さい」「硬貨の袋が開けにくい」「入口が分かりにくい」など具体的に記録します。備えを増やす前に、今ある物を本人が使えるか確かめることが役立ちます。電話の撤去や施設の営業時間変更もあるため、引っ越し・進学・転勤など生活経路が変わった際は候補を見直してください。
よくある質問
テレホンカードだけ持っていれば十分ですか?
停電時は利用できない場合があるため、硬貨も用意してください。無料化されても機種によって最初に硬貨を入れる必要があります。現地の表示と最新案内で判断します。
近所の電話が地図に載っていません。
検索サービスの掲載時点や停止状況、現地の変更を確認します。地図だけで存在・利用時間を断定せず、平時に安全な範囲で現地や施設案内を確認してください。
171へかければ救助を依頼できますか?
171は安否などの伝言を録音・再生する仕組みで、救助要請の緊急通報先ではありません。利用方法や提供状況は災害用伝言ダイヤル171の公式案内で確認します。
避難所なら必ずすぐ電話を使えますか?
設置・開設・運用状況によります。災害時用の設備があることだけで即時利用を約束せず、施設管理者や自治体の案内に従ってください。
まとめ:電話を探す前に安全、備えるときは場所・硬貨・番号
公衆電話への備えは、使える場所を知ること、硬貨と紙の連絡先を持つこと、機種の案内を読めるようにすることの三つです。平時に一度確認し、災害時は避難を優先してください。使えない場合の連絡方法も決めておくと、一つの電話に頼らず行動できます。
参照した公式情報
情報確認日:2026年10月23日。無料化・設置・通信状況は災害発生時の最新発表を確認してください。




