家でネズミを見つけたら、市区町村の生活衛生・環境衛生担当や保健所へ、防除方法を相談できます。ただし、相談窓口があることと、職員が家に来て無料で駆除してくれることは別です。自治体によっては器具の貸し出しや現地での助言がありますが、作業は所有者・管理者が行う扱いの地域もあります。まず住所を伝えて担当窓口を確認し、「相談・訪問・貸し出し・駆除」のどこまで頼めるかを尋ねてください。
この記事では、住宅のネズミ被害について公的窓口へ相談する方法を扱います。捕獲や薬剤の使い方を先に決めるのではなく、自宅で行うこと、建物の管理者へ頼むこと、業者に依頼することを整理するための案内です。
市役所や保健所は、ネズミを駆除してくれる?
自治体に電話すれば駆除作業まで依頼できる、という全国共通の制度はありません。例えば大阪市は、防除方法などの相談を受け付ける一方、市による駆除や薬剤の配布は行わないと案内しています。横浜市は、発生源の所有者・管理者が対応することを基本に、駆除方法の説明、機材の貸し出し、業者の案内を掲げています。
「無料相談」「駆除支援」「害虫相談」という名称だけでは、受けられる支援の範囲は分かりません。相談員の説明を聞くこと、器具を借りること、建物を調べてもらうこと、実際に捕獲することを分けて確認すると、期待と実際の対応のずれを減らせます。
| 窓口で尋ねること | 分けて確認する内容 |
|---|---|
| 相談・助言 | 電話、窓口、写真など、どの方法で相談できるか |
| 現地確認 | 訪問の有無、対象地域、予約、調べられる範囲 |
| 器具の貸し出し | 対象者、在庫、期間、受取場所、使用後の返却条件 |
| 薬剤の提供 | 提供の有無と対象。近隣自治体の制度を当てはめない |
| 駆除・工事 | 行政が作業するのか、所有者・管理者が手配するのか |
| 費用・補助 | 相談、貸出、民間作業を分け、利用料や助成の条件を確認 |
自治体から業界団体の連絡先を教わった場合も、その後の現地調査や駆除が無料になるとは限りません。依頼先へ連絡する段階で、訪問料金と見積もり料金、契約しなかった場合の費用を確かめます。

公式案内で見る、自治体ごとの対応の違い
次は2026年11月3日に確認した公式案内の比較です。全国の制度を網羅する表ではなく、「どこまで頼めるか」を読み分けるための例です。ページの掲載内容と、当日の在庫・受付状況は分けて確認してください。
| 自治体・窓口 | 公式に案内されている内容 | 連絡時の確認 |
|---|---|---|
| 横浜市・各区福祉保健センター | 駆除方法の説明、機材貸出、駆除業者の案内。対応は発生源の所有者・管理者が基本 | 住所を管轄する区、貸せる器具、現地相談の扱い |
| 大阪市・各区保健福祉センター | 防除方法の相談。市による駆除・薬剤配布は行わない | 生活環境業務担当につなぎ、区の支援を確認 |
| 大阪市淀川区 | 相談、現場指導、捕獲器の貸出を案内 | 来庁、説明、貸出期間・在庫・返却方法 |
| 東京都多摩立川保健所 | 予防・駆除対策の助言、可能な範囲での同定、業者団体の紹介。防除・駆除作業は実施しない | 管轄、相談方法、資料や検体の扱い |
出典:横浜市の駆除相談案内、大阪市の衛生害虫相談、淀川区のネズミ案内、多摩立川保健所の相談・同定案内。
淀川区のページは2012年掲載の案内で、確認時にも捕獲器貸出等の記載がありました。一方、大阪市全体の相談案内は2026年更新です。古い区のページに制度が載っている場合は、現在も利用できるかを電話で確かめてから出向くと、無駄足を避けられます。
また、同じ都道府県内でも、保健所を設置する市と、それ以外の地域では窓口が異なります。都道府県の保健所へ電話すれば必ず担当になるとは考えず、市区町村の公式サイトで「住所・ネズミ・生活衛生」を手掛かりに探します。
電話する前に、被害を一枚のメモにまとめる
「ネズミがいるので何とかしてほしい」だけでは、窓口も状況を絞れません。まず見た事実と推測を分けます。姿を見たのか、足音だけなのか、食品袋に穴があるのかで、必要な確認が変わるためです。安全に撮れる場所の写真があれば、全体と痕跡の両方を残してください。
- 住所と建物:戸建て、賃貸、分譲マンション、店舗など。
- 最初に気付いた日と最近の発生日時。
- 確認した場所:台所、収納、天井裏からの音、共用廊下など。
- 見たもの:姿、フンらしい物、かじり跡、食品被害、におい。
- 既に行った対策:片付け、罠、薬剤、業者への相談など。
- 子ども・ペットがいるか、管理会社へ連絡済みか。
フンや毛を持参して同定を受けられる窓口もありますが、最初から拾って持って行く必要はありません。写真で足りるか、現物が必要か、必要ならどのように採取・包装するかを先に尋ねます。屋根裏に入る、家具を大きく動かす、動物を捕まえて持ち込むといった作業は、相談資料を作るために行わないでください。
そのまま使える相談文例
「[市区町村・町名]の[住宅の種類]で、[日時]に[場所]で[実際に確認した痕跡]を見つけました。ネズミかどうかと、今できる対策を相談したいです。こちらの住所を担当する窓口でしょうか。写真相談、現地での助言、器具貸出が利用できるか教えてください。[子ども・ペット等の事情]があり、管理会社には[連絡状況]です。」
回答は、担当部署、相談日、次に行うこと、再連絡する条件を記録します。「まず食品をしまってください」と言われた場合も、何日も被害が続いたらどこへ連絡するか、建物の調査が必要かを聞いておくと、その後の判断につながります。
相談当日は、必要な物と受付方法を先に聞く
窓口へ行く場合は、予約が必要か、写真をスマートフォンで見せられるか、相談に使う資料を送付できるかを確認します。貸出器具を受け取る予定なら、本人確認や住所確認に必要な物、持ち運び方も尋ねてください。これらの条件は自治体ごとに違うため、別の地域で借りた人の説明だけで準備しないようにします。
高齢の家族に代わって相談する、日中に来庁できないといった事情も、最初の電話で伝えます。代理の相談や別の受取方法を利用できるかを確認し、難しい場合は自宅でできる記録と次の連絡方法を決めます。写真を送るときは、窓口が指定した宛先を使い、室内に写った郵便物や家族の顔など、相談に不要な情報を除いてください。
賃貸・集合住宅は、管理会社にも同時に連絡する
公的窓口の助言は、借りている建物を自由に加工できる許可ではありません。賃貸住宅では、管理会社・貸主へ発生場所と痕跡を連絡し、専有部分と共用部分のどちらを調べるか、業者を誰が手配するかを決めます。
入居者が自分で配管周囲を固めたり、換気口をふさいだりすると、建物の機能や後の調査に影響します。見つけた隙間は位置が分かる写真を残し、内部に動物が残っていないかも含めて確認を依頼してください。費用負担は契約や原因によるため、「役所へ相談したから貸主が全額払う」とは決まりません。
分譲マンションでは、管理組合・管理会社へ共用部の確認を頼みます。複数の住戸で似た被害がある場合は、本人の同意なく部屋番号や写真を拡散せず、管理側へ情報を集めます。建物全体の経路が関係するなら、一住戸内の捕獲だけでは対応が終わらないこともあります。
詳しい連絡事項は、食品がかじられたときの処分・記録も参照してください。食品の扱いと、建物を調べる依頼を分けて進めると、食事への影響を抑えながら相談できます。
器具を借りるなら、設置より先に点検・回収を確認
貸出が利用できても、器具を置くだけで終わりではありません。受取時には、どこへ置けるか、子どもやペットが触れない管理ができるか、捕獲後の連絡先と処理方法、毎日の確認、返却時の扱いを聞いてください。使い方を理解できないまま借りるより、自宅で管理できるかを先に相談します。
特に、捕獲後の動物を素手でつかむ、移し替える、別の場所へ放すなどの自己判断は避けます。貸出元が示す扱いを確認し、対応できない場合はそのことを伝えてください。貸出器具の種類、期限、紛失・破損時の条件も記録します。
薬剤を既に置いている場合は、商品名と設置場所を窓口へ伝えます。複数の対策を重ねる前に、子どもや動物が接触しないか、後で回収できるかを見直します。行政相談が受けられることを、どんな薬剤も家庭で安全に使えるという意味には置き換えません。
無料相談を待つ間に、家庭でできること
食品やペットフードを出したままにせず、破損していないふた付き容器などで保管し、ごみと不用な段ボールをためないようにします。被害が疑われる食品は、家族が使わないよう分けてください。捕獲のために食べ物を広くまく、動物を追い回すといった対応は避けます。
清掃が必要でも、乾いたフンを掃除機で吸ったり、ほうきで舞い上げたりしないでください。大量の汚染、手が届かない場所、狭い床下や屋根裏は、窓口や専門業者へ範囲を伝えて対応方法を相談します。ここで急いで危険な片付けを始める必要はありません。
清掃時の粉じんへの注意はCDCのネズミによる汚染の清掃案内に基づきます。具体的な清掃・消毒は、使用する製品の表示と汚染範囲に合わせて確認してください。
待っている間の記録は、毎回詳しい報告書を作るものではありません。「何日のどの時間帯、どの場所、新しい跡があるか」を短く残せば十分です。音が一晩しなかっただけで解決と決めず、これまでの被害場所に変化があるかを次の相談へ持ち込みます。
業者への依頼が必要になったときの確認
天井裏や壁内の調査、建物の補修、広い範囲の清掃などは、自分で行うのが難しい作業です。公的窓口で対応範囲を確認したうえで、何を業者に頼むのかを絞ります。「ネズミ一式」ではなく、調査、捕獲、侵入口の確認・補修、清掃、再点検を分けて見積もりを求めてください。
国民生活センターの注意喚起は、安い広告をきっかけに依頼し、現地で高額料金を提示されるトラブルを取り上げています。検索結果の最低料金だけで総額を決めず、作業前に内容と金額を確認します。
- 出張・調査・見積もりに費用がかかるか。
- どの場所を、どの方法で調べるか。確認できない場所はどこか。
- 捕獲だけか、侵入口補修・清掃・再点検まで含むか。
- 追加作業が必要なとき、着手前に説明と承諾があるか。
- 保証の対象、期間、対象外となる条件は何か。
「行政から紹介された」「公的な団体に加盟している」という説明があっても、その場で契約を決める必要はありません。案内された連絡先と実際の事業者名を照合し、契約内容は別に読みます。料金や説明に納得できないときは着手を止め、契約トラブルは消費者ホットライン188へ相談できます。
近隣の建物や道路から来ると思うとき
自宅で姿を見ても、発生源や侵入経路まで特定できたとは限りません。近隣のごみ、工事、空き家などが気になっても、相手の敷地へ入ったり、原因と決めつけて責めたりせず、自宅で確認した場所・日時と周囲の状況を分けて窓口へ伝えます。
道路、公園、下水施設など公共の場所が関係しそうな場合は、その管理部署への相談が必要になることがあります。最初の窓口で担当外と言われたら、「この場所の管理者と、次に連絡する部署を教えてください」と尋ねます。住宅内の駆除依頼と、公共施設の管理相談を分けることで、連絡が行き違いにくくなります。
よくある質問
自治体に相談すれば補助金も受けられますか?
相談制度と費用助成は別です。居住地の公式案内で制度の有無、対象者、対象作業、申請時期を確認してください。他地域の制度や、過去の募集を自宅に適用できるとは限りません。工事を頼んでから申請できるとも決めつけないでください。
夜中に見つけたら、朝まで何もできませんか?
食品の使用を止め、子ども・ペットを近づけず、安全な場所から記録することはできます。無理な捕獲や分解はせず、管理会社の連絡方法を確認します。煙や火、けがなど別の緊急事態がある場合は、自治体の生活衛生窓口の開始を待たず、その状況に応じた緊急対応を優先します。
窓口に「駆除はしない」と言われたら相談終了ですか?
作業をしない窓口でも、痕跡の確認や予防方法、業者団体の案内などを受けられる場合があります。「今の被害で自分ができる範囲と、誰へ依頼すべき範囲を知りたい」と具体的に尋ねてください。
最初の一歩は、住所を管轄する窓口へ、被害の記録と知りたい支援を伝えることです。公的相談と民間作業の範囲をそろえてから依頼すると、必要な調査や費用を見落としにくくなります。
公式情報確認日:2026年11月3日。自治体の受付・貸出制度は変更される場合があります。利用前に居住地の担当窓口で確認してください。本文の確認表・文例は公式案内を基に編集部が作成しました。
アイキャッチは生成イラスト、本文図解は編集部作成です。実際の相談現場・製品写真・操作画面ではありません。




